2019年06月20日

ランボー超人Bの物語 その2痴漢退治B

(彼女も含む)皆の視線に晒されて、居場所が無くなった俺は
乗客の手元にスマホが何台も出現するに及んで、もう逃げるしかないと覚悟した

それと同時に、車内の皆の動きが急にゆっくりしたものになった
それこそ、超スローモーションで動いてるんだよ

これは、俺が超スピードで動いてるからだ、とわかったね
漫画の超人やヒーローは、これができるんだ

ということは、確か俺が素早く動けば、連中には姿が消えた、としか思えないはず
で、俺は勢いよく飛び上がってみた、さっきの思いつきを試すことにしたんだ

ジャンプした瞬間、いろいろなことがさぁーっと頭に浮かんだ
そうだ、俺は超人になったようだが、なんだかんだで、まだ空を飛んだことが無い

まあ、イメージはあるんだが、大丈夫だろうか、とか思った次の瞬間
バコーッみたいな音がして、俺は電車の天井をぶち抜いて、屋根もぶち抜いて

その上にあった電線もぶち切って、朝の大空に飛びこんだんだ
空中で止まるのも案外簡単で、全力で走り出しても、止まりたかったら止まれる、みたいなもんで

どうだろ、200mくらいの高さで空中浮遊できてる
下では乗ってた電車が、5〜600m先に急停車している

架線が切れてるから、停電で電車が止まったかも知れない
となると、こりゃオオゴトになりそうだ

責任なんて取れっこない俺は、下の連中から見つからないうちに、一気にもっと高い処目指して
急上昇することを選択したのは、まあしょうがないよね
posted by Beeまたの名は熟年のK at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2019年06月18日

ランボー超人Bの物語 その2痴漢退治A

大きくなってきた騒ぎに乗じて、痴漢野郎はますます行動をエスカレートさせている
そして彼女は、なんとか逃れようと身をよじる、という密やかな攻防

そして、その様子が見え聴こえしているだけに、オス的に血が上っちまった俺
車内の人々は、ただただ自分に加わえられていく圧力に耐え切れなくなり

女性客が悲鳴を上げ始め、続いて我慢の限界に達した男性客の、うめき声があちこちで上がる
俺はと言えば、そんな状況を把握する気もなく、ただただ邪魔な人垣に対する怒りが高まってくる

だが、超人の力とは言え、これだけびっしり人が詰まっているとなると
単純に力任せにかき分けようとしたって、そんなに簡単にことは進まない

ふっと思ったのが、超人的にはここで飛び上がって、電車の屋根を突き破って
あの二人のいる辺りに再突入、って考えも浮かんだんだけど、それはないな

走ってる電車の屋根を突き破ったら、どんなことになるか大体の予想はつくよ、俺だって…
じゃあ、どうする、彼女の抵抗する力が、少し落ちてきている…ような気がするが

もう、もたもた考えてる場合じゃないだろ!と、馬鹿力を開放する
ぐわっと人混みを押しまくると、乗客がばたばたっと押し倒されていって

彼女と痴漢野郎のところまで、と言いたいところだが、彼女も痴漢野郎も巻き込んで
俺が押した先の人混みは、押し倒された人、その人に乗っかられた人、さらに下敷きになった人人

もうめちゃめちゃな状態が生じて、俺は茫然とそのありさまを眺めているだけで
そんな俺を恐れている目や非難の目に、包囲されているんだ
posted by Beeまたの名は熟年のK at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2019年06月06日

ランボー超人Bの物語 その2痴漢退治@

さすがの超人効果だ
満員になっている通勤通学の人の圧力なんて全然苦にならない

ただ、嗅覚や聴覚も超人的になったお蔭で
体臭や化粧の匂い、スマホのイヤホンから漏れてくる趣味じゃない音楽などが気になって仕方ない

そんな通勤電車に揺られながら、会社辞めて、スーパーヒーローで生きる道があるか
ぼんやり考えていた俺の耳に、ただならぬ音声が飛び込んで来た

『…やめて、くださ、い…』若い女の押し殺したような声
こりゃあ痴漢だぞ、この満員電車の車内で今、痴漢されている女の子がいるんだ

そう思った俺は、混雑している車内を睨み廻して、声の主を探した
俺好みの、清純で可愛いのに出るところは出ている、アイドルみたいな娘の姿を求めて

次の声が聴こえないので、混み合っている車内を、ぐっと眼に力を込めて眺めると
ほぼ満員になっている乗客の体が、徐々に透け始めて、何人もの人影の重なりの向こうに

なんとOLらしき女性の臀部に、手を当てて微妙に動かしている中年サラリーマンの姿が見え
おっ、こいつか、と思ってさらによく見ようとすると、その部分がクローズアップするじゃないか

よし、助けてやろう、と思ったけど、人混みなんで動けない
えーい、邪魔だと、取り敢えず痴漢され、してる二人に向かって目の前の男子高校生を横に動かす

すると、高校生はおおげさに「うぉっ」と声をあげて、横に立っている若い背広男を巻き込んで
俺の左側の席に座っている連中に倒れ込んでいった

その段階で、その倒れ込まれた辺りを中心に、皆が口々に大声で
自分に向けられた理不尽な圧迫に対して、苦情を叫び始めた

ところが俺は、とってもスムーズに人混みを分けて進めることに気を良くしていたので
そんな騒ぎが気にならず、次の人混みを力加減をしながら、どんどんかき分けて

“され・してる”カップルに近付いていった
どんどん大きくなっていく、なぎ倒された人々の阿鼻叫喚に気付かずに、だ
posted by Beeまたの名は熟年のK at 17:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説