2019年06月06日

ランボー超人Bの物語 その2痴漢退治@

さすがの超人効果だ
満員になっている通勤通学の人の圧力なんて全然苦にならない

ただ、嗅覚や聴覚も超人的になったお蔭で
体臭や化粧の匂い、スマホのイヤホンから漏れてくる趣味じゃない音楽などが気になって仕方ない

そんな通勤電車に揺られながら、会社辞めて、スーパーヒーローで生きる道があるか
ぼんやり考えていた俺の耳に、ただならぬ音声が飛び込んで来た

『…やめて、くださ、い…』若い女の押し殺したような声
こりゃあ痴漢だぞ、この満員電車の車内で今、痴漢されている女の子がいるんだ

そう思った俺は、混雑している車内を睨み廻して、声の主を探した
俺好みの、清純で可愛いのに出るところは出ている、アイドルみたいな娘の姿を求めて

次の声が聴こえないので、混み合っている車内を、ぐっと眼に力を込めて眺めると
ほぼ満員になっている乗客の体が、徐々に透け始めて、何人もの人影の重なりの向こうに

なんとOLらしき女性の臀部に、手を当てて微妙に動かしている中年サラリーマンの姿が見え
おっ、こいつか、と思ってさらによく見ようとすると、その部分がクローズアップするじゃないか

よし、助けてやろう、と思ったけど、人混みなんで動けない
えーい、邪魔だと、取り敢えず痴漢され、してる二人に向かって目の前の男子高校生を横に動かす

すると、高校生はおおげさに「うぉっ」と声をあげて、横に立っている若い背広男を巻き込んで
俺の左側の席に座っている連中に倒れ込んでいった

その段階で、その倒れ込まれた辺りを中心に、皆が口々に大声で
自分に向けられた理不尽な圧迫に対して、苦情を叫び始めた

ところが俺は、とってもスムーズに人混みを分けて進めることに気を良くしていたので
そんな騒ぎが気にならず、次の人混みを力加減をしながら、どんどんかき分けて

“され・してる”カップルに近付いていった
どんどん大きくなっていく、なぎ倒された人々の阿鼻叫喚に気付かずに、だ
posted by Beeまたの名は熟年のK at 17:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説